【ガヤについて】

 

 今回ここで公開します「ガヤ」というのは、ゲームやアニメで教室や町並みなどといった背景に映っているキャラクターたちの会話を指した用語です。
 多くの場合、メインキャストとして出演している声優さんたちがまったく別のキャラクターとして雑談する形式で収録させてもらいます。そのため、名前付きキャラクターと一味違った音声を聞く楽しみがあります。

 黒髪少女隊は舞台が学校、しかも女子校ということもあり、かしましい女の子たちの雰囲気を出したいと思って、各声優さんに「ガヤ」を10パターン程度お願いすることにしました。ある程度台詞の方針は決めていましたが、その殆どがアドリブです。
 アニメのようにある程度人が集まって収録をするのであれば、ブースに5人10人と入りその場で雑談的な会話をしてもらえばいいのですが、美少女ゲームの場合、その多くが1人ずつの収録になってしまいます。そうなると「前に撮った人のガヤを聞かせてもらえますか?」といった具合に先に撮り終わっている方のガヤを参考にしたりするのですが……。

 何故海原エレナさんは「ハンバーグ」。…いちおう、お嬢様学校という指定だったんですが、なんだか面白いのでそのままの勢いでOKをだしてしまいました。
 そしてしばらく他の音声ディレクターにお任せしていたのですが、終わってから収録データを通して聞いてみると、もうみんなはっちゃけてて(特に平野響子さん)…ちょっとだけ不安はよぎりました。 「おリボンが曲がっていますわよ」とか「おブラジャーの忘れ物」とか…普段絶対「お」をつけないようなものにまで「お」がついていたりして、みなさんのお嬢様に対するイメージがどういうものか判ってそのときは面白かったですけど(笑)

 収録からひと月ほど経った頃、音声合成担当者が私のところに小首を傾げながらデータを持ってきて「…こんな感じなんですけど」とちょっと苦笑い。私も聞いてみてすぐにマズいと思いました。

 ガヤなのにメインキャストの台詞を喰うくらい存在感がありすぎる(笑)

 ボリュームを下げてもらったり、組み合わせを変えてもらったりとイロイロ試しましたが、最終的に下した判断は「演出面でボツ」でした。

 う〜〜ん、みなさん熱演してもらっていただけに使えなくて残念……。
 というわけで、こっそりとこのボツの墓標に葬りたいと思います。

 なむなむ……。

(企画・シナリオ/御倉たな)

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